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【鍵泥棒のメソッド】

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作品概要

立場も性格も正反対な2人の入れ替わりを描いたコメディ作品で、2012年9月に日本で公開された実写映画作品。

デビュー作である「運命じゃない人」で、第58回カンヌ国際映画祭の最優秀ヤング作家賞など4賞を受賞した内田けんじが監督・脚本を務めている本作品。

出来心から入れ替わりを実行した主人公に襲い掛かる試練の数々をコメディチックに描いた本作品は、その脚本の面白さとテンポの良さに多くの支持を集め、2013年の第86回キネマ旬報ベスト・テンにおいて日本映画脚本賞や芸術選奨文部科学大臣賞を受賞するほか、第36回日本アカデミー賞の最優秀脚本賞などの映画賞を受賞しています。

また、本作品が人気となったことを受けて、韓国では2016年に「LUCK-KEY」と名前を変えてリメイク版が公開され、日本においても2014年に演劇集団キャラメルボックスによる舞台化がされています。

あらすじ

計画性が全くなく、何をしても続かない三文役者の桜井武史。

唯一続けてきた役者の道も一向に花開くことはなく、友人や恋人とも距離を置き始めていた彼は、とうとう自暴自棄になって自殺を試みます。

けれども、自殺はロープが途中で切れたことで失敗。これからどうしようかと考え、おもむろに開けた財布の中に銭湯の無料権を発見した彼は、銭湯へと出かけていきます。

そして、出かけた銭湯で分厚い財布を持つコンドウを見つけます。羽振りの良いコンドウの様子をチラ見しながら観察していた桜井は、コンドウが風呂場で足を滑らせて失神する現場に出くわします。

急な出来事に騒然とする現場。そんな混乱に乗じて、桜井はコンドウが所持していたロッカーの鍵と自身の鍵を入れ替えようと思い立ちます。

こうして計画性もなく、入れ替わりを果たしてしまった桜井とコンドウ。果たして、桜井が入れ替わったコンドウとはどんな人物だったのか。桜井を待ち受ける驚きの結末は、ぜひご鑑賞してお確かめください。

登場人物

・桜井武史/役:堺雅人
本作品の主人公の1人。

計画性が全くなく、何をしても続けられない性格をしており、いい歳になっても俳優としての道を諦めきれずにいる。貯金もほとんどしていない様子で、友人や恋人からお金を借りたのち、返金できないために関係を疎遠にしていた。

・山崎信一郎(コンドウ)/役:香川照之
本作品の主人公の1人。

何事においてもしっかりとした計画を立てる几帳面な性格をしており、法外な報酬で確実に仕事をこなす凄腕の殺し屋をしている。風呂場で転倒してから記憶を失ってしまったが、決して自暴自棄にはならず、前向きに人生を歩もうとする。

・水嶋香苗/役:広末涼子
本作品の主人公の1人。

何事にも計画を立ててからでないと行動ができない性格をしており、翌月までに結婚するという予定を立ててから婚活に励もうとする。若くして雑誌の編集長を任されており、仕事をしっかりとこなすだけでなく、部下からの信頼も厚いようにうかがえる。

・工藤純一/役:荒川良々
ヤクザのボス。

凄腕の殺し屋・コンドウに仕事のとある会社の社長を始末するように依頼しており、更なる仕事の依頼をするためにコンドウと入れ替わった桜井に仕事の依頼をする。コンドウは仕事の依頼を電話でしか受けていなかったため、工藤はコンドウの本当の顔を知らず、櫻井が入れ替わっていても気づかなかった。

感想/ネタバレ

(小道具の一つ一つにまでこだわった演出に注目)
緻密に計画を練り、依頼された仕事を完璧にこなす殺し屋のコンドウ(山崎信一郎)と、計画性が皆無で人生に行き詰まり、自殺を試みるも失敗を繰り返す三文役者の桜井武史。そんな性格から環境まで全てが異なる2人の入れ替わりを描いた本作品。

真逆の2人の設定を見事に利用し、テンポ良く描かれた本作品ですが、監督・脚本を務めたのは内田けんじという人物です。

彼は、デビュー作である「運命じゃない人」において、第58回カンヌ国際映画祭のフランス作家協会賞・最優秀ヤング批評家賞・最優秀ドイツ批評家賞・鉄道員賞の4賞を受賞しており、多くのファンの支持も得ていることから、実力と人気を兼ね備えた日本を代表する監督の1人といえます。

そんな彼が手掛ける本作品では、これまでの作品と同様に緻密に練られた設定等がされているだけでなく、小道具の一つ一つに細かい演出がされているのが特徴となっています。

例えば、記憶を失ったコンドウが気づいたことをまとめるために使用していたノート。ページ全面を映した場面はほとんどなく、気にも留めないような小道具の一つでしたが、実は作品内で触れられていない桜井武史の情報が多く記されているのです。

このように、ノートの一つからも監督のこだわり抜いた演出を窺い知ることができ、作品の世界観をさらに楽しむことができるような作りとなっています。

「運命じゃない人」「アフタースクール」に続く、内田けんじ監督の第3作品目として発表された本作品。一度見たことがある人もそうでない人も、細かい小道具の一つ一つにまで注目しながら、内田けんじが描く世界観にハマってみてはいかがでしょうか。

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