作品の概要
暁佳奈による原作のライトノベルは、「涼宮ハルヒの憂鬱」や「けいおん!」を手掛けたことで知られる京都アニメーションが主催する「第5回京都アニメーション大賞」にて大賞を受賞した作品。「京都アニメーション大賞」は過去に4回開催されていましたが、大賞が出ていなかったことから初の大賞受賞作品となりました。
そして2018年1月から4月にかけてTOKYO MXほかにてアニメが放送されており、その内容の良さと作画が素晴らしかったことによりSNS等で話題になりました。
そんな人気の本作は、アニメ放送終了後に2020年1月には全世界同時公開の劇場版アニメの制作が発表されるなど今後の展開も注目の作品となっています。
あらすじ
武器や道具と呼ばれて幼い頃から戦場で戦うことしか知らなかった少女ヴァイオレットが、上官であるギルベルト少佐と出会い敬愛するようになります。
しかし、戦争は激化したことでギルベルト少佐は生存が不明となり、ヴァイオレットは両腕を失い自在に動く義手を付けることを余儀なくされてしまいます。
その後、戦争は終息を迎えてヴァイオレットは、ギルベルト少佐が自身に言った「愛している」の言葉の意味を理解するために、元中佐であるホッシンズの元で自動手記人形として依頼人の心を理解して手紙を代筆する仕事を始めます。
そして、戦うことしか知らず人の心を理解することができなかったヴァイオレットが、様々な人の大切な人に対する思いを知ることで徐々に人の心が分かるようになり、やがてギルベルト少佐の発した言葉の意味を理解していくという物語になっています。
出演者/キャスト
・ヴァイオレット・エヴァーガーデン/声:石川由依
本作の主人公。自動手記人形として働く。
金糸の髪で青い眼、涼やかに響く声と優雅な振る舞いができる美しい少女だが、感情が乏しく表情も変わらないことから人形のようと思われることも多い。
孤児で親も誰かわからなかったため、ヴァイオレットの名前はギルベルト少佐によって陸軍時代に花の女神の名前から付けられたもの。
・ギルベルト・ブーゲンビリア/声:浪川大輔
ヴァイオレットの陸軍時代の上官。
由緒ある一族のブーゲンビリア家の出身で、26代目当主を務める。
真面目で実直な性格で、25歳の時に兄からヴァイオレットを押し付けられる形で引き取ったが、ギルベルトはヴァイオレットを道具として扱わず、親代わりとなって言葉や規律を教えてくれた。
・クラウディア・ホッシンズ/声:子安武人
ヴァイオレットが勤めるC.H郵便社の社長。元陸軍の中佐。
ギルベルト少佐とは士官学校時代からの仲で、ギルベルトからの頼みによって戦争が終息した後にヴァイオレットの親代わりとして後見人となり自身の会社で雇う。
生まれが商人の家ということもあり、人付き合いが上手で情に厚い。感情が乏しいヴァイオレットが仕事で失敗をしても根気強く見守っている存在。
・カトレア・ボードレール/声:遠藤綾
ヴァイオレットが勤めるC.H郵便社の自動手記人形。
C.H郵便社の創設当初のメンバーの一人。天真爛漫な性格だが、同僚のまとめ役として面倒を見る場面も多く、ヴァイオレットに対しても優しく接している。
色気のある美貌と人懐っこい性格、そして人の心を読み取るのが上手なカトレアは指名で代筆の仕事が来ることも多い。
感想/ネタバレ
(圧倒的な作画力!)
本作品の魅力はいくつかありますが、その中でも作画については他のどのアニメより群を抜いて優れているといえます。
背景や人の表情の一つ一つまで全ての部分が作り込まれているだけでなく、1クール13話分がそのクオリティを一度も下げることなく制作されているので、見る度に映画を見ているような感動に包まれてしまいます。
また、本作品では自動手記人形として、ヴァイオレットが様々な人の元へ出向いて代筆をするために山の上や湖畔、お城など様々な美しい背景が登場するので、各話で違った感動を得ることができます。
(手紙に乗せた想いに感動すること間違いなし)
本作品では、各話が短編のようになっており、毎回異なる依頼人が異なる意図の元に自動手記人形を依頼しています。
その意図は様々で、酒におぼれてしまった兄のことを心配に想い送る妹からの手紙や、素直になれない人が好きな人へ送るための手紙、亡くなる前に子供に想いを残そうとするための手紙など、各人が大切な想いを手紙に託して送ろうとする姿が描かれています。
SNSや携帯を使って自分の想いをいつでも簡単に発信できる現代だからこそ、その一通への想いや大切さを改めて考えることのできる作品となっています。
(手紙を通して描かれるヴァイオレットの成長)
戦うことしか知らず、ギルベルト少佐から言われた「愛している」の意味さえ理解することができなかったヴァイオレット。
そんなヴァイオレットは、自動手記人形の仕事を初めたばかりの時は、手紙に想いを乗せる気持ちすらも理解することができずに依頼人を不快に思わせてしまうこともしばしば。
しかし、手紙を通して様々な大切な想いに触れていくうちにヴァイオレットにも少しずつ感情が芽生えていき、表情にも変化がでるようになります。
全13話を通して、そんなヴァイオレットの成長を非常に丁寧に描いていることから最終回にかけての感動はまるで親が子を見守るような感動に包まれることでしょう。